Bluetooth SIGが新機能「HDT」を採用 最大7.5Mbps、ロスレスなどの音声仕様は2027年見込み

Bluetooth SIGが新機能「HDT」を採用 最大7.5Mbps、ロスレスなどの音声仕様は2027年見込み ITニュース

Bluetooth SIG が、2026年11月4日(米国時間)に、Bluetooth Core 7.0 の任意機能「Bluetooth High Data Throughput(HDT)」の採用を発表しました。最大ビットレートは7.5Mbpsで、Bluetooth LE 2M PHY の4倍近くになります。最初の主な用途は、ロスレス・ハイレゾ音声などを支える標準化されたプレミアムワイヤレスオーディオで、そのリリースは2027年の見込みです。ワイヤレスイヤホンやスマホ、ウェアラブル機器を使う人に関係する話です。発表は Bluetooth SIG のプレスリリース(英語)で読めます。日本語のページ(Bluetooth SIG 公式)も用意されています。

Bluetooth HDT で何が変わるのか

新しい物理層で、最大7.5Mbps

HDT は、Bluetooth Core 7.0 の任意機能として、新しい物理層(PHY)を導入する機能です。堅牢な変調方式を使い、Bluetooth LE の機器がより効率よく通信し、より多くの情報を運べるようにする、と Bluetooth SIG は説明しています。

数字で見ると、最大ビットレートは7.5Mbps に引き上げられます。比べる相手は Bluetooth LE 2M PHY で、その4倍近く(原文は nearly four times)です。「4倍近い」は、LE 2M PHY と比べた数字だと押さえておきたいところです。

速さだけでなく、4つの改善

Bluetooth SIG は、HDT の改善点として次の4つを挙げています。

改善点 発表での説明
転送速度 最大ビットレートが7.5Mbps に
容量 周波数をより効率よく使える
電力効率 送信にかかる時間が短くなり、低電力の状態でいる時間が増える
信頼性 通信の堅牢性と回復力を高め、厳しい環境でも性能を安定させる

電力効率の考え方は、配膳がさっと終われば、そのぶん店員さんが休める時間が増える、というイメージに近いですね。速く送り終えることが、省電力にもつながるという説明です。

Bluetooth HDT の最初の主な用途は音声

2027年見込みなのは「音声の仕様」

HDT の最初の主な用途(原文は first flagship application)は、標準化されたプレミアムワイヤレスオーディオです。リリースは2027年の見込みとされています。

この音声の仕様は、標準化されたロスレス・ハイレゾ音声のほか、マルチチャンネルのサラウンドや空間オーディオも支えるとしています。

ここで気をつけたいのは、2027年見込みとされているのは音声の仕様のリリースだという点です。対応するイヤホンやスマホの発売時期を示したものではありません。レシピが公開される予定日であって、お店で料理が出てくる日ではない、という感じです。

音声以外に挙げられた用途

HDT の機能紹介ページ(Bluetooth SIG 公式、英語)では、音声以外の用途として次のものを挙げています。

  • XR・空間コンピューティング
  • AI に対応した機器
  • 商用・産業用の機器
  • ウェアラブル・健康機器・スマートホームなど日常の機器(同期・ファイル転送・ファームウェア更新の待ち時間を短くする)

プレスリリースでは、Nordic Semiconductor の幹部が、たとえば次のような使い方を挙げています。スマートウォッチの数時間分のトレーニングデータを数秒でスマホへ同期する、スマートグラスがデータを処理に回す、スマートホーム機器が利用者にほとんど気づかれない停止時間でファームウェアを更新する、といった例です。いずれも想定の例で、製品の発表ではありません。

Bluetooth Core 7.0 の任意機能という位置

HDT は、最近採用された Bluetooth Core 7.0 の任意機能(optional feature)です。

任意機能なので、Core 7.0 に対応した機器が、すべて HDT にも対応するとは限りません。将来、製品を選ぶときに「Core 7.0 対応」とだけ書かれていても、HDT が使えるかどうかは別に確かめる必要があります。

今の Bluetooth 機器はどうなる?

いちばん気になるのは、手元のイヤホンやスマホで使えるかどうかだと思います。ただ、今回の発表には次の点が書かれていません。

  • 今のスマホ・イヤホンが、ソフトの更新で HDT に対応できるか(新しい物理層のため、新しいチップが要るかどうかも含めて)
  • HDT に対応していない機器とつないだときの動き
  • 対応製品の発売時期・メーカー・価格
  • ロスレス音声に使うコーデックの名前や、ビットレート・サンプリング周波数などの細かい仕様

そのため、「今の機器でも、いずれロスレスで聴ける」とは言えない段階です。

Bluetooth の新機能でやっておきたいこと

おすすめの考え方

  • HDT を理由に、今のイヤホンやスマホの買い替えを急ぐ段階ではありません。対応製品の発売時期は、まだ発表されていません
  • ロスレス音声が目当てなら、2027年見込みとされる音声の仕様の続報を待ってから考える
  • 将来の買い替えでは、「Core 7.0 対応」の表記だけで判断せず、HDT への対応が明記されているかを確かめる
  • 会社で機器を選ぶ立場なら、要件に書くときも「Core 7.0 対応」と「HDT 対応」を分けて書く

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2026年11月5日時点の情報です。

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