引っ越しを考えるとき、まず気になるのは「前の家と、何が違うの?」ですよね。今回のWordPress比較は、その疑問に答える回です。間取り、広さ、近所の様子。EmDashも同じで、WordPressと比べて初めて、自分に合うかどうかが見えてきます。
シリーズ「WordPressからEmDash移行」の第3回は、EmDashとWordPressの違いを、公式の情報をもとに、項目ごとに並べます。良いところだけでなく、まだ弱いところも、あえて書きます。
WordPress比較の結論:似ている入口、違う中身
結論から言うと、記事を書いて公開する、という入口の体験は似ています。違うのは、中身の作りと、育ってきた環境です。
| 比べる点 | WordPress | EmDash |
|---|---|---|
| 土台の言葉 | PHP | TypeScript(Astro 6.0の上に構築) |
| ページの組み立て | テーマ | Astroのページと部品 |
| 本文の保存形式 | ブロック(Gutenberg)やクラシックエディタのHTML | Portable Text |
| プラグインの動き | PHPで書かれ、データベースやファイルへ直接アクセスできる | サンドボックスの中で動き、宣言した権限だけを使う |
| AIとの接続 | (この記事では比べていません) | MCPサーバーを本体に内蔵し、既定で有効 |
| 動かす場所 | PHPが動くサーバー | Cloudflare Workers、またはNode.jsのサーバー |
| 成熟度 | 長い歴史と大きな利用者の層 | 2026年9月28日に1.0。プラグインのレジストリは無料のものだけ |
EmDashの内蔵MCPサーバーについては、第8回で詳しく扱います。
WordPress比較で見える、EmDashの強み:プラグインの権限
違いのなかで、移行の理由になりやすいのが、プラグインの扱いです。
Cloudflareの発表では、WordPressのプラグインはPHPで書かれ、データベースやファイルへ直接アクセスできる、と説明されています。一方のEmDashでは、各プラグインが隔離された環境で動き、あらかじめ宣言した機能だけを使えます。
| 場面 | WordPressの考え方 | EmDashの考え方 |
|---|---|---|
| プラグインを入れる | 入れたあとで、何をするかを調べる | 要求する権限が、入れる前に見える |
| 権限の範囲 | プラグインの作りしだい | 宣言した範囲だけ。管理者が承認する |
| 配布 | 審査済みのマーケットプレイスに頼る | 公開者の署名つきのレジストリ(現在は無料のみ) |
ごはんにたとえるなら、WordPressのプラグインは「合鍵を渡して、台所に入ってもらう」感覚、EmDashは「今日使っていい棚だけを決めて、渡す」感覚です。入れる前に、何を触るのかが分かるのが、安心につながります。
WordPress比較で見える、EmDashの課題:若さと作り直し
一方で、EmDashには、はっきりした課題もあります。
- 歴史の差:EmDashは2026年4月1日にプレビューを発表し、9月28日に1.0になったばかりです。WordPressのような、何年も育ってきたテーマやプラグインの層は、まだありません
- 作り直し:WordPressのテーマやプラグインは、そのままでは動きません。EmDash向けに作り直す必要があります(第6・7回で詳しく扱います)
- プラグインの層:レジストリは、現在、無料のプラグインのみに対応しています
- 条件つきの機能:サンドボックス化したプラグインを動かすには、Cloudflareではカスタムの実行環境が必要で、公式のドキュメントでは、Workers Paidプランで使えるとされています
つまり、「プラグインを何十個も使っている、大きなサイト」ほど、移行の負担は大きくなります。反対に、記事が中心で、プラグインが少ないブログは、移行しやすいと言えます。
あるある:機能の数だけを比べてしまう
引っ越しの比較でよくあるのが、「機能の数」で決めてしまうことです。「WordPressにはプラグインが何万もある」「EmDashはまだ少ない」。確かにそのとおりですが、自分が実際に使っているのは、いくつでしょうか。
家探しで、「近所のお店の数」ではなく、「毎日使うお店があるか」で選ぶのと同じです。使っているプラグインを書き出してみると、移行できるかどうかが、はっきり見えてきます。
WordPress比較から、自分のサイトがEmDash向きか確かめる表
最後に、自分のサイトが移行しやすいかを、簡単に確かめる表です。当てはまる数が多いほど、移行に向いています。
| チェック | 当てはまれば |
|---|---|
| 記事とカテゴリー、タグが中心のブログである | 向いている |
| 使っているプラグインが少ない(目安は数個) | 向いている |
| テーマに強いこだわりはなく、作り直せる | 向いている |
| Cloudflareをすでに使っている | 向いている |
| 会員制や、ネットショップなどの機能がある | 作り直しが大きくなる |
試してみるなら:手元で作るのが早い
違いを頭で理解したら、手元のパソコンで、サンプルを作ってみるのが早いです。クラウドのアカウントがなくても動かせます(公式の「Getting Started」の手順)。
npm create emdash@latest
今回のまとめと次回予告
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 似ているところ | 記事を書いて公開する、という入口の体験 |
| 違うところ | 土台(PHPとTypeScript)、プラグインの権限、動かす場所 |
| EmDashの強み | プラグインの権限が、入れる前に見える。AIとの接続が内蔵されている |
| EmDashの課題 | 若い。作り直しが必要。条件つきの機能がある |
次回は、WordPress比較のあとの現実的な話として、実際にEmDashを動かすために必要な、費用と準備を整理します。
ほかのCloudflare関連の記事は、当ブログの技術ネタからどうぞ。
参考
- Cloudflare Blog「EmDash」
- Cloudflare Blog「EmDash 1.0」
- EmDash公式ドキュメント「AI Tools」
- EmDash公式ドキュメント「Migrate from WordPress」

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