Projects は、ゴールを渡すと Claude が並列のクラウドスレッドに仕事を分けて進める、Claude Code のベータ機能です。機能の発表は、Anthropic の公式ブログの 2026年9月17日付です。一方、公式ドキュメントのページには、メタデータ上、2026年10月14日 19:13(UTC。日本時間では10月15日 4:13)の最終更新日時があります。ただし、どの記述がその日に加わったのかは分かりません。この記事は、9月に発表された機能の現状を、公式ブログとドキュメントの両方から整理したものです。
「開発チームが、Claude Code の新しい Projects を試したいと言っている」。こんな相談が情シスに来る場面は、ありそうです。
結論から言うと、Projects は誰でもすぐ使える機能ではなく、使う側のプラン・GitHub の設定・使用量に条件があります。さらに、ベータの間は組織レベルの管理がありません。まず表で全体像をどうぞ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何が変わった? | ゴールとリポジトリ(またはコンテキスト)を選ぶと、Claude が作業を委任し、並列のスレッドを調整して、成果物にまとめる |
| 誰が使える? | ブログは「Claude Pro・Max の一部の購読者」、ドキュメントは「Pro・Max でパブリックベータ、段階的に展開中」。Team・Enterprise はまだ |
| どこで使える? | claude.ai/code、デスクトップアプリ、Claude のモバイルアプリ。ターミナルの CLI、VS Code 拡張、JetBrains プラグインでは使えない |
| 注意点 | 使用上限に早く届くことがある。GitHub は github.com と Claude GitHub App が前提。組織レベルの管理はない |
実際の製品は Claude Code(Anthropic 公式の製品ページ)で、詳しい使い方は Projects の公式ドキュメント(Claude Code Docs)で見られます。
Projects で、何が変わったのか
公式ブログ「Projects redesigned: from folder to conversation」(2026年9月17日)によると、Claude Code のプロジェクトで、やりたいことを伝えると、Claude が依頼の範囲を決めて作業を委任し、並列のスレッドを調整し、出力を確認して、完成した成果物にまとめます。進み具合の指示は途中でもでき、スマートフォンからも可能です。コンピューターを離れても作業は続きます。
仕組みは、作業をする「スレッド」と、それを指揮する「コーディネーター」の組み合わせです。各スレッドは Claude Code のクラウドセッションで、それぞれ自分のブランチとリポジトリのコピーで作業します。同じコードを触るスレッドが重なったときは、通常のプルリクエストと同じように、マージコンフリクトとして解決します。
ごはんにたとえるなら、料理長(コーディネーター)が、複数のコンロ(スレッド)に仕事を割り振って、できあがりを確認する厨房です。コンロが増えるほど早く進みますが、そのぶんガス代、つまり使用量も増えます。
もうひとつの変更点は記憶です。すべてのスレッドが共有メモリに書き込み、そこから読みます。公式は例として、「リリースが金曜に移った」「エクスポートを外した理由」「課金サービスを触る前に誰に確認するか」を挙げています。ほかに、自分が追加したファイルと Claude が作った成果物をまとめる「ライブラリ」も加わりました。
Projects を、誰が使えるのか
提供範囲は、ブログとドキュメントで書き方が少し違います。両方を並べます。
| 出典 | 提供範囲の書き方 |
|---|---|
| 公式ブログ(2026年9月17日) | 本日から、クラウドセッションを Claude Code で使っていて、Web やデスクトップに既存のプロジェクトがない Claude Pro・Max の一部の購読者にベータで提供。「今後 1 週間」で、同じプランの Claude Code 利用者へ拡大。Claude 全体および Team・Enterprise プランへは「その後」 |
| 公式ドキュメント | Pro・Max でパブリックベータ。段階的に展開中で、クラウドセッションを使ったことがあり、claude.ai のチャットや Cowork に既存のプロジェクトがないアカウントから始めている。Team・Enterprise プランではまだ使えない |
どちらも、Team・Enterprise がまだ対象外である点は同じです。Team・Enterprise への提供時期は、公式に書かれていません(ブログは「その後」、ドキュメントは「まだ使えない」)。サイドバー(claude.ai/code やデスクトップアプリの Code タブ)に Projects が出ていなければ、展開が届いていない状態で、公式のウェイトリストに参加できます。
既存の Pro・Max のプロジェクトは、今までどおり動きます。チャットと Cowork への展開に合わせて、アップグレードされると書かれています。
日本での提供状況(日本のアカウントでの展開など)は、公式に国や地域の記載はありません。
Projects を使うときの、権限とリポジトリの条件
コードを扱うプロジェクトの前提は、ドキュメントにこう書かれています。
- コードが github.com にある(GitHub Enterprise Server、GitLab、Bitbucket ではない)
- 接続した GitHub アカウントに、そのリポジトリへの push 権限がある
- Claude GitHub App が、そのリポジトリに入っている
/web-setup で接続した GitHub のトークンは、ほかのクラウドセッションがリポジトリに届くには足りますが、プロジェクトのクラウドスレッドには足りず、Claude GitHub App が必要です。また、GitHub の Organization が所有するリポジトリでは、Claude GitHub App のインストールを完了できるのは Organization のオーナーだけです。オーナーでない場合は、GitHub がオーナーに承認依頼を送り、承認されるまで、プロジェクトはそのリポジトリを使えません。SAML SSO を強制している Organization では、Claude アプリの認可も必要です。
権限ルールの効き方にも違いがあります。
| 構成 | クラウドスレッドでの扱い |
|---|---|
| リポジトリが 1 つ | スレッドが始まるディレクトリの .claude/settings.json の権限ルール、フック、env が効く(どのクラウドセッションも有効にしない env のキーは除く) |
| 複数リポジトリ(Anthropic ホストの環境) | 権限ルール、フック、env は効かない。auto モードと、各スレッド内での承認に頼る |
承認が必要になったとき、プロンプトはそのスレッドの中にあり、プロジェクトの会話で「進めて」と伝えても届きません。スレッドは auto モードで動く(モデルが対応している場合)ため、ほとんどのツール呼び出しは確認なしで実行されます。
クラウドスレッドは、自分のマシンにだけ入れたスキル、MCP サーバー、プラグイン、ツールを持ちません。スキルやコマンドは、プロジェクトに追加したリポジトリにコミットするか、Project settings の Plugins でプラグインを足します(claude.ai アカウントで有効にしたスキルは、クラウドスレッドも読み込みます)。MCP は、claude.ai アカウントのコネクタから得ます(リポジトリが 1 つのプロジェクトでは、そのリポジトリの .mcp.json からも読みます)。
Projects の使用量で、気をつけること
ブログは、複数のスレッドが同時に動き、それぞれが完全な Claude Code セッションなので、使用上限に早く届くことがある、と書いています。ドキュメントの記述は次のとおりです。
- プロジェクトの使用量は、ほかの Claude Code セッションと同じプラン上限に数えられ、プロジェクトが自分で上限を超えて使うことはない
- スレッドの数に決まった上限はなく、Claude は必要なだけ起動する。人が頼む上限は「希望」であって上限(cap)ではない
- 強制される制限は、自分の全プロジェクトを合わせて 1 日あたり新規スレッド 200 本
- 新規プロジェクトは、すべてのスレッドを Opus の high effort で動かす。公式は、これがプランを最も早く消費する設定だと書いている
- 使用量クレジットを有効にしている場合だけ、プラン上限を超えて使われる
- Project settings の Usage で、スレッド別・モデル別のトークン使用量を見られる
プルリクエストを見張っているスレッドにも注意が必要です。CI の失敗やレビューコメントが来ると、待機中でも起きて、プランを再び使います。止めるには、そのスレッドに PR の監視をやめるよう頼みます。
上限に達したスレッドは待ち、リセット後に自動で再開します。放っておくと、次の使用枠を使い始める、ということです。使いたくない場合は、スレッドの Stop か、プロジェクトの Pause で止められます。Pro プランは特に、プロジェクトを動かした日は上限に早く届くと見ておくよう、ドキュメントは書いています。
Projects の「自分のコンピューターで実行」は、ブログとドキュメントで書き方が違う
ここは、注意して読む必要があります。
公式ブログの「What’s next」は、スレッドは今日はクラウドで動き、自分のマシンでローカルのツールやコードと一緒に、ネットワークの内側で動かすことは「coming very soon」と書いています。
一方、公式ドキュメントには「Run a thread on your own computer」の節があり、Remote Control で接続した自分のマシンのフォルダ上で動く Claude Code セッションを、スレッドにできると書かれています。
| 項目 | ドキュメントの記述 |
|---|---|
| 必要なもの | そのコンピューターの Claude Code v2.1.280 以上 |
| 接続の方法 | デスクトップアプリの Settings > Claude Code で「Use this computer from your phone and claude.ai」をオンにしてフォルダを追加、または、ターミナルでフォルダ内で claude remote-control を実行したままにする |
| 依頼の方法 | プロジェクトの会話の「+」メニューで Work locally を選び、カードで Allow once を押す |
| 動く範囲 | そのマシンのファイル、ツール、MCP サーバー、Claude Code 設定(フック・権限ルールを含む)。プロジェクトの指示は受け取るが、メモリファイルは読み込まれない |
| 動く条件 | コンピューターが起きていて Remote Control がオンの間だけ。auto モードで動く(そのコンピューターの Claude Code で auto モードが使えない・オフの場合は、auto なしで動き、権限プロンプトはスレッド内で答えを待つ) |
| 使えない場合 | アカウントで「Require trusted devices」がオンのとき |
つまり、ブログ(2026年9月17日)は「coming very soon」、ドキュメントは機能として説明しています。ドキュメントのページに、目に見える掲載日・更新日の表示はありません。メタデータの最終更新日時(2026年10月14日 19:13 UTC)はブログの日付より後ですが、ローカルスレッドの節がいつ加わったのかは分かりません。実際に使えるかは、お使いの環境で確かめるのが確実です。
Projects の制限と、取り消せない操作
ドキュメントの「Limitations」から、情シスに関係しそうなものを拾います。
- Amazon Bedrock、Google Cloud の Agent Platform、Microsoft Foundry 経由では使えない
- プロジェクトは 1 人のユーザーのもの。ほかのユーザーとプロジェクトやスレッドを共有できず、ベータの間は、プロジェクトに組織レベルの管理がない
- クラウドスレッドのサンドボックスはターンの間で一時停止し、再開できない場合は新しいクローンから続けるため、コミットしていない変更が失われることがある。長い作業では、作業途中のコミットと push を頼む
- Delete は、スレッド・メモリ・ファイルを完全に消し、取り消せない。スレッドが GitHub に push したブランチと PR は影響を受けない
Projects を試すなら、情シスの目線で(ここからは提案)
ここから先は、公式の文書には書かれていない、提案です。
- 最初は小さなリポジトリで試す(提案): 使用量が早く減ると公式が書いているので、重要度の低いリポジトリで、使用量の見え方を先に確かめます
- Project settings で、モデルと effort を確認する(提案): 新規プロジェクトは Opus の high effort が既定なので、消費を抑えたい作業では下げる選択肢があります
- プロジェクトの指示に、してほしくない操作を書く(提案): ドキュメントの例には「マージ、force-push、CI 設定の変更は、スレッド内で確認してから」という書き方があります
- 組織の管理が効かない前提で、運用ルールを決める(提案): ベータの間は組織レベルの管理がないため、誰がどのリポジトリで使ってよいかは、運用側で決めておく必要がありそうです
どれも、公式が勧めている手順ではありません。実際の設定は、公式ドキュメントで確認してください。
ありがち:「うちも Projects を入れたい」と言われる現場
これは実際にあった話ではなく、現場で起きそうな想定です。
「Claude Code の新しい Projects なら、複数のリポジトリを並列で直せるらしい」と、開発側から相談される場面は、ありそうです。そのときは、対象は Pro・Max の一部で Team・Enterprise はまだ、GitHub は github.com と Claude GitHub App が前提、使用量は早く減る、という3点を先に伝えるのが近道です。厨房に新しいコンロを入れる前に、ガスの契約と換気を見ておく、という話です。
Projects で、公式に書かれていないこと
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| Team・Enterprise への提供時期 | 公式に書かれていません(ブログは「その後」、ドキュメントは「まだ使えない」) |
| ドキュメントの更新箇所 | 目に見える更新日の表示はなく、メタデータの最終更新日時は2026年10月14日 19:13(UTC)。どの記述がいつ加わったかは分かりません |
| 日本での提供状況 | 公式に国・地域の記載なし |
| 使用量クレジットの料金 | 今回は取得したページの範囲外で、ここでは触れません |
「並列で進む」からといって、人の確認が要らなくなるわけではありません。条件と使用量を知ったうえで、小さく試す。ここを押さえておけば十分です。
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参考リンク(Anthropic 公式)
- Projects redesigned: from folder to conversation(Claude 公式ブログ)
- Let Claude coordinate ongoing work with Projects(Claude Code Docs)
- Claude Code(公式の製品ページ)
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